統合失調症の体験談NO2

少しずつ出来ることを増やしているDさん

Dさん(30代男性)は、21歳の頃に統合失調症と診断されました。

そして、統合失調症と分かってからは、それまでとは全く違った生活を余儀なくされました。

Dさんは、12年間の間に4回の入院をしていますが、デイケアや作業所には行かず、母親はどうしたらいいのか悩んでいたそうです。

Dさんの母親は家族会に入り、色々な学習会や医療懇談会にも参加し、勉強すればするほど、学んだことと現実の落差に打ちひしがれる思いがしたといいます。

学習会で質問をすると、決まって「なるようにしかなりません」と言われ、そんな日々が何年か続きました。

Dさんの母親は、世間一般の価値観から抜け出して、自分だけの息子としての価値観を作り上げようと考えるようになりました。

そして、それが人に笑われるような考え方だっていいから自己を確率したいと思ったそうです。

Dさんは、お使いを良くしてくれていましたし、母親と2人でプールに行ったり、散歩もしていました。

母親にとって、息子は「ひきこもり」と呼ばれたくなかったといいます。

Dさんの居場所がないのなら、自分の家を居場所にすればいいと考えました。

働けなくても、楽しく暮らしていけるのではないか?

とDさんの母親は主治医に問いかけたことがありましたが、「まあ無理でしょう」と言われたそうです。

Dさんの家にはサンドバッグ、パチンコなどを置いていて、イライラしたときはサンドバッグを叩いたり、リラックスするためにパチンコをしていたそうです。

ある日、Dさんの母親が風邪をひいて動けなくなった時、Dさんは家族会の会報の原稿を担当者の家まで届きてくれたり、茶碗を洗ってくれたりしたそうです。

母親は、こうしたひとつひとつのことが宝物のように思っているそうです。

こうした小さなことを大切にして、ひとつずつ増やしていきたいと願っています。

病院の治療と勉強会で除々に回復しているEさん

Eさん(20代男性)は統合失調症で、両親は建築業の仕事をしています。

Eさんが高校2年生の頃に中退し、父親が建築の現場につれていき仕事を教えることにしました。

Eさんは、除々に仕事を覚え、真面目に働くようになりました。

そして、Eさんが20歳のときに大きな仕事場を経験したとき、同年代の同業者と自分を比較して、

「自分の技術が低い」

と思うようになり、そのことを気にするようになりました。そのたびに、

「これまではアパートや低いマンションなどの仕事ばかりやっていたから、知らないことがあって当たり前だ」

と両親は何度も励ましていました。

Eさんはその頃から、

「周囲の人に自分の情報がもれている」

などと言うようになっていましたが、両親はあまり気にしていなかったといいます。

Eさんは、自室のドアの隙間や鍵穴にガムテープを貼り、窓にもダンボールを貼り付けたりして、部屋を密閉状態にしてしまいました。

両親がなぜこんなことをするのかと聞くと、仕事仲間がEさんのことを

「背中にアザがある」とか

「小学生のときは太っていた」

などと、他人が知らないようなことをヒソヒソと話していたから、情報が漏れていると思うようになり、覗かれないようにしていると答えました。

Eさんは、それからも隠しカメラがあるかもしれないと言い出し、壁にも厚い布を貼り、最終的には仕事にも行けなくなってしまいました。

また、寝てしまうと頭の中を覗かれてしまうからと、コーヒーを何杯も飲んで眠らないようにしたりと、追い詰められるようになっていました。

このままでは、身体を壊してしまうと病院につれていくと、治療が始まりました。

治療を始めてから2週間ほど経ったとき、「もう緊張しなくなった。仕事も集中できる」と元気そうにしていました。

Eさんは、色々と感じることがあっても、すぐにそんなことはないと言い聞かせて気にしないようにしたそうです。

Eさんは、除々に回復していても治療は続けなければならないし、この病気は長い付き合いになるからと、病院の勉強会にも通っているそうです。

統合失調症がどんな病気なのか知らない人にとっては、仕事に行けないのがなまけていると思って叱ってしまいがちです。

しかし、患者にとってはそのことで苦しみが増してしまいます。

家族の方も勉強会に参加したり、本などで症状や治療方法などの知識が必要でしょう。

クリックとデイケア通所を続けたことで復学を目指すようになったFさん

Fさん(20代男性)は、大学に入学して1年目は、大学に行かないこともありましたが、何とか単位を取れて2年に進学できました。

しかし、2年生になると、朝寝坊して大学を休むようになり、昼夜逆転して自室で過ごすことが多くなりました。

また、疲労感を訴え食欲もなくなってきたため、母親の勧めで近くの内科を受診しましたが、身体には問題がないと言われました。

そして、落ち込んでいることから、メンタルクリニックを受診して相談することを勧められたそうです。

メンタルクリニックを受診すると、抗うつ薬や抗不安薬を処方され、一時は表情も明るくなり家族と話すこともありましたが、それでも2ヶ月経っても外出をせず、暑い日もカーテンを閉めて自室で過ごすことが多かったといいます。

このように、統合失調症はうつ病に似たところがあって、身体の不調や不安発作といった症状があります。

また、数日の不眠から興奮状態になることもあるそうです。統合失調症の場合、多くの人が発症前に人との関わりを避けるようになります。

ある日、Fさんが「監視カメラが家に仕掛けられている」と言い出して家中を探していることがありました。

また、「テレビが自分のことを言っている。自分が口にしたことが周囲に知られている」と言い出し、その時からFさんは小さい声で話すようになりました。

そんな様子を主治医に話すと、統合失調症と診断され、抗精神病薬を処方されるようになりました。

本人を含め家族も十分な説明を受けたため、そのことを受け止めることにしたそうです。

それからは、薬が効いてきたのか、監視カメラなど変なことは言わなくなり家族との会話も増えていきました。

幻聴や妄想といった統合失調症の症状は、薬物療法によってかなり軽減します。

それによって、1人で外出できるようになるなど、一定の回復が見られるようになります。

Fさんはそれでも大学へは行くことなく、自室に閉じこもっていることが多いことに変わりはありませんでした。

父親はそんなFさんの様子を心配して登校を勧めたり、一緒に外出することを促したりしましたが、それにもほとんど応じませんでした。

そんなことが続き、ある日父親に対して医師が「大変ですね。期待通りにいかないことで焦りますよね」

「お父さんは息子さんのマイナスな部分だけしか言いませんが、息子さんの良いところはありませんか?」

と言うと、しばらく黙っていた父親は「私は息子を責めてばかりいました」と話しました。

Fさんの父親自身も不安な状態が続いたことで不眠症になり、息子のFさんはそのままクリックに通い、父親も同じクリニックに通うことになりました。

その後Fさんは休学の手続きを取って、週4回近くのデイケアに通って畑作業を中止にした活動をするようになりました。

Fさんは、ときどき体がだるいと言いますが、以前のように家に閉じこもることはなくなりました。

そして、デイケア通所を続けて自信を取り戻し、復学も目指すようになりました。